~ 目次 ~
1. 本記事の目的
自分で作ったオリジナルの車の3Dモデルを、ゲーム内で走らせる手順について説明します。
色々な記事を読んでみると、リアルな3Dモデルや緻密なプログラミングをしていてハイクオリティなものも沢山ありました。
私にとっては難しく少し混乱してしまった部分もあるので、この記事では3Dモデルやプログラムの構築は必要最低限の労力でやります笑
3Dモデルやプログラムをしっかりやれば高品質なゲームになると思うので、今回はとりあえず動かすことを目的に説明したいと思います。

2. 使用ソフトウェア
今回の開発で使ったソフトウェアとバージョンです。(※バージョンは多少違っても大丈夫だと思います)
- Blender 4.1 (公式サイト: https://www.blender.org/)
- Unreal Engine 5.4.4 (公式サイト: https://www.unrealengine.com/)
3Dモデルの作成にはBlender、ゲーム開発にはUnreal Engineを使います。公式サイトにアクセスして、それぞれインストールを進めてください。
今回の記事ではソフトの言語設定は英語でやりますが、好みに応じて別の言語にしてもよいです。(海外の記事とか動画を見たときにマネしやすいように英語にしています)
インストール方法が分からないという方は、下の記事とかを見ながらやればできると思います。
- Blenderのインストール → パソコン工房 NEXMAG, Blenderインストール方法と基本的なオブジェクトの作り方
- Unreal Engineのインストール → ゲームメーカーズ, UE5版 ゲームづくりを始めよう!
3. 3Dモデルの作成
3.1. 作成するモデル
まずは動かしたい車の3Dモデルを作ります。作成するモデルは 図 3.1 のような感じで、人間が車だといわれて理解できるギリギリの形です(笑)。製図などをやっている方は三面図のほうが理解しやすいかもしれないので、図 3.2 をご覧ください(図 3.1 も 図 3.2 も中身は同じです)。
座標系の向きは重要なので色付きで書いています。車の進行方向(前進)をX軸、車の鉛直上向きがZ軸になるようにモデリングします。
構成部品はボディ(部品番号①)とタイヤ4輪(部品番号②~⑤)のみです。後でBlender や Unreal Engine で分かりやすいように、各部品に下の 表 3.1 のように名前をつけます。早速モデリングBlenderを使って車のモデリングを始めます!
表 3.1 作成するモデルの寸法
部品番号 | 部品名称 |
---|---|
1 | Body (車のボディ) |
2 | Wheel_FL (左フロントタイヤ) |
3 | Wheel_FR (右フロントタイヤ) |
4 | Wheel_RL (左リアタイヤ) |
5 | Wheel_RR (右リアタイヤ) |
3.2. Blenderでモデリング
3.2.1. Blenderの起動
今回はBlenderを使ってモデリングするので、まずはソフトを起動します。画面下のタスクバーにある検索窓で「blender」と入力して、Enterキーを押します。
初めて起動したときは言語の設定とかが出てくると思いますが、特に設定せずデフォルトのまま行きます。

3.2.2. ボディのモデリング
Blenderを起動すると画面の中央にキューブが置かれていると思います。このキューブを変形して、そのまま車のボディとして使いたいと思います。

X軸が車の進行方向、Z軸が車の上向きになるようにします。
まず、車は進行方向に細長くしたいので、X軸方向のスケールを2倍します。高さが少し高いので、続けてZ方向に0.5倍します。
座標の向きはUnreal Engineにインポートしたときに重要になってくるので、注意しながら作業を進めたほうが良いです(私はあまり考えてなかったので後で困りました…)。

今のままだと車の進行方向が分からないので、前方が低くなるようにボディ形状を修正します。
そのためにまずは、ボディを全体的にZ方向へ +0.5 m 動かします。

次にボディを変形させます。変形させるためには、
- Object ModeからEdit Modeに変更
- 辺のマークを選択
- 前方の辺を選択
します。

辺が選択できたら、画面左にある移動コマンドのボタンを押します。そうすると辺が自由に移動できるようになります。
Ctrlキーを押すと移動が1グリッド間隔になるので、その状態でZ軸方向に移動させてボディ前方をへこませます。

かなり単純な形ですけど、これでボディの形ができました。

これだと少しさみしいのでボディの色を変えたいと思います。そのために、
- Material Propertyを選択
- Material名の上で2回クリックし、名前を Body に変更
- Base Colorの色の上でクリック
します。

そうするとカラーパレットが現れるので、自分の好きな色に設定します。
デフォルトの表示だと色が分からないので、画像中の①のようにViewport Shadingに表示を切り替えた方が調整しやすいと思います。


以上でボディのモデリングが完了になります!
3.2.3. タイヤのモデリング
次はタイヤを作っていきます。タイヤの元形状を次の手順で挿入します。
- ワークスペース上部のAddをクリック
- Meshを選ぶ
- Meshの中のCylinderをクリック

元形状の寸法と位置を確認します。ワークスペース下部にあるAdd Cylinderの項目をクリックしてください。
そうすると、円柱の半径(Radius)や深さ(Depth)などの設定項目が表示されると思います。


この円柱からタイヤを作ります。Add Cylinderの項目を以下の項目を変更してください。
- Radiusを 0.3 m に設定(これがタイヤの半径になります)
- Depthを 0.2 m に設定(これがタイヤの幅になります)
これだとタイヤがボディの真ん中くらいに配置(座標原点)に表示されているので動かす必要があります。そのために、
- Location X を 2 m
- Location Y を 1 m
- Location Z を 0 m
- Rotation X を 90°
に設定してください。これは左フロントタイヤの場合なので、他の3輪も作成していきます。

他の3輪の位置は下の図のようになります。
左フロントタイヤはP1の位置だったので、他の3輪はP2, P3, P4の位置に配置すれば良いです。
まずP2の位置に右フロントタイヤを配置します。先ほど作成した部品を複製するので、
- ワークスペース上部のObjectタブをクリック
- Duplicate Objectsをクリック
します。

これで部品が複製できたので画面右側のTransformの項目から、右フロントタイヤをP2の座標位置 P(2, -1, 0) m に配置します。

同様の手順で部品を複製して、P3, P4の位置にそれぞれ左リアタイヤ、右リアタイヤを配置します。
ちなみにP3, P4の座標は、
- P3= P(-2, 1, 0) m
- P4= P(-2, -1, 0) m
です。


タイヤの色を黒っぽくします。ボディの色を変えたときと同じ手順で、
- Material Propertyを選択
- Material名の上で2回クリックし、名前を Tire に変更
- Base Colorの色の上でクリック
します。そうするとカラーパレットが現れるので、グレーに設定します(グレーでなくても好きな色にしても大丈夫です。瞬足バギーみたいにタイヤの色を青とかオレンジにしてもOK)。


他のタイヤも同じ色に設定します。
まずは色を設定していないタイヤを選んで、最後に色を設定したタイヤを選択してください。Shiftキーを押しながら選ぶと同時に選択することができます。

タイヤを全て選択した状態で、
- ワークスペース上部のObjectタブをクリック
- Link/Transfer Data
- Link Materials
をクリックする。


以上で車のモデリングは完了です! この後はUnreal Engine用のモデルをエクスポートするための色々な設定をしていきます。

3.2.4. 単位の設定
Unreal Engineにインポートするためには、単位のスケールを変更する必要があります。下の画像のように、
- シーンタブを開く
- Unit Scaleを0.01に設定
してください。

そうすると車の大きさが0.01倍になってしまうので、元の大きさに戻すために100倍する必要があります。
まず、不要なオブジェクトは削除します。今回はCameraとLightが必要ないのでこの2つを削除します(レンダリングするときはカメラとライトが必要です)。

CameraとLightを削除すると、下の画像のようにボディとタイヤのMeshだけが残ります(合計5パーツ)。下向きの三角形(▽)みたいなマークがMeshです。

不要なパーツを削除できたので、スケールの変更を進めます。
ボディとタイヤの大きさを一気に変更したいので、ボディとタイヤを全て選択します。
全選択するためには、
- ワークスペース上部のSelectタブをクリック
- Allを選択
します。これでボディとタイヤが全て選択された状態になります。

この状態で、
- 画面左のスケール(上下左右矢印)のボタンを長押し
- そのままマウスのカーソルを右に移動してScaleを選択
します。

画面上にX, Y, Z軸と白い円が現れるので、白い円をクリックしたままマウスのカーソルを動かします(ボディとタイヤのスケールが変更されるのを確認します)。


クリックを解除すると、画面左下にResizeのウィンドウが現れます。ここで、Scale X, Y, Zを全て100に設定してください。


モデルが大きくなりすぎて見えなくなりましたが、表示範囲を縮小(マウスホイールを回すとかで)するとしっかり全体を確認できます。

3.2.5. 回転とスケールの適用
今のモデル位置と大きさが基準になるように設定します。これを行わないとUnreal Engineにモデルをインポートしたときに、座標系の向きとかモデルの大きさが変になったりします。
これを忘れていて Unreal Engineに車をインポートしたときに、
- 車輪が路面に食い込む
- 車が前方ではなく横向きに走る
- 車のボディのスケルタルメッシュが表示されない
などの現象が発生しました。
回転とスケールの適用は下の画像のようにモデルを全選択した状態で、
- ワークスペース上部のObjectタブをクリック
- Applyをクリック
- Rotation&Scaleをクリック
します。

回転とスケールの変更適用したら、画面左下にApply Object Transformの設定項目が現れます。ここで、RotationとScaleとApply Propertiesにチェックが入っているか確認してください。

3.2.6. ボディとタイヤの親子関係設定
ボディとタイヤの間に親子関係(ペアレント)を設定していきます。今のままでは部品名がCubeやCylinderになっていて分かりにくいので、名前を変更します。
- Body (車のボディ)
- Wheel_FL (左フロントタイヤ)
- Wheel_FR (右フロントタイヤ)
- Wheel_RL (左リアタイヤ)
- Wheel_RR (右リアタイヤ)

パーツ名が変更できたら親子関係を設定していきます。まず、下の画像のように Wheel_FR(子) → Body(親) の順番に選択(Shiftキーを押しながら)します。

子と親のパーツを両方選択したら右クリックし、
- Parentの中の
- Objectをクリック します。これでボディとタイヤの間に親子関係を設定することができます。

他の3輪も同じように、Wheel(子) → Body(親) の順番で選択してから親子関係を設定していきます。



親子関係が設定できると、画面右上のツリー(アウトライナー)が下の画像のようになると思います。

こんな感じのツリーになっていればOKです。
- Body (車のボディ)
- |— Wheel_FL (左フロントタイヤ)
- |— Wheel_FR (右フロントタイヤ)
- |— Wheel_RL (左リアタイヤ)
- |— Wheel_RR (右リアタイヤ)
3.2.7. fbxファイルのエクスポート
ここまででBlenderのファイルを保存していない場合は、
- Fileタブをクリック
- Saveをクリック
してファイルをします。ダイアログが出てきたら、ファイル名を設定(ここでは car とした)して、「Save Blender File」を押してください。


いよいよBlenderで作ったモデルをUnreal Engine用に出力(エクスポート)します。
まずは3Dモデルのエクスポートするために、
- Fileタブをクリック
- Exportを押す
- FBX(.fbx)を選択
します。

そうするとダイアログが出てくるので、
- Include > Object Types を Mesh に設定
- Transform > Forward を X Forward に、Up を Z UP に変更
- Geomerty > Smoothing を Face に変更
- Armature の Bake Animation を無効にする
- 設定項目を確認して Export FBXを押す
という流れでエクスポートしてください。
これでUnreal Engineにインポートする準備は整いました。お疲れ様です! 疲れたら休憩しましょう~


4. ゲーム内で動かす
ここからは、UNREAL ENGINE公式サイトにあるドキュメント「How to Set up Vehicles」を参考に作業を進めます。
4.1. Unreal Engine の起動
Epic Games Launcher から Unreal Engine (今回は Version 5.4.4を使用) を起動します。

4.2. Vehicle Template を使う
今回はとりあえず車を動かすことが目的なので、Vehicle Templateのコースを使います。Vehicle Template を使ってプロジェクトを作成するには、
- Unreal Engine のホーム画面左にある 「GAMES」タブをクリック
- 「Vehicle」のテンプレートを選択
- Project Defaults を「BLUEPRINT」に設定
- Project Name を「OriginalVehicle」にして
- 画面右下にある「Create」ボタンをクリック
してください。

プロジェクトが起動したら、画面上にあるプレイボタンを押して遊んでみてください(元々入っている車はかなりいい感じです)


4.3. Chaos Vehicle プラグインの有効化
車を動かす方法は色々あるみたいですが、今回は Chaos Vehicle というプラグインを使って動かしたいと思います。物理演算がしっかり入っているので、かなりリアルな動きをします。
Chaos Vehicle プラグインを有効化するためには、
- Edit タブの
- Plugins をクリック
- 検索欄で「Chaos Vehicle」と検索
- プラグインが有効にする(私はすでに有効になっていました)
という手順で行います。手順4のタイミングでUnreal Engineの再起動が求められるので、再起動を行ってください。


4.4. ホイールブループリントの作成
タイヤやサスペンションの設定を行うために、ホイールブループリントを作成します。
ホイールブループリントの他にも後で色々なファイルを作成するので、フォルダを作成します。フォルダを作成するためには、
- 画面下側にある Content Drawer を開き
- Vehicles フォルダを探してクリック
- Vehicles フォルダ内で右クリックして 「New Folder」をクリックする。
- フォルダ名を設定(ここでは MyVehiclesとした)
します。


作成したフォルダ内(MyVehicles)で右クリックし、Blueprint Class を押す。そうすると、親クラスの選択画面が出てくるので
- ALL CLASSES をクリックし
- 検索窓で Chaos と検索して
- ChaosVehicleWheel を選択
- Slect をクリックする
という手順でホイールブループリントを作成します。今回は前輪用のブループリント(ファイル名:BP_MyVehicle_FrontWheel)と後輪用のブループリント(ファイル名:BP_MyVehicle_RearWheel)を作成しました。



まずは前輪の設定をします。前輪のホイールブループリント(ファイル名:BP_MyVehicle_FrontWheel)を開いて、
- Axle Type を Front に
- Wheel Radius を 30.0 (単位は cm)
- Frinction Force Multiplier を 1.9 に(デフォルト値でも良いです。アンダーステア気味にしたほうが操作しやすいので1.9にしました。)
- Affected By Steering を有効に(前輪に操舵角を入れるため)
してください。後輪も続けて設定します。後輪のホイールブループリント(ファイル名:BP_MyVehicle_RearWheel)を開いて、
- Axle Type を Rear に
- Wheel Radius を 30.0 (単位は cm)
- Affected By HandBrake を有効に(サイドブレーキを引いたときに後輪がロックするようにするため)
- Affected By Engine を有効に(後輪駆動にするため)
と設定します。これで足回りの設定は完了になります。



4.5. エンジントルクカーブの作成
エンジンの特性を設定するために、エンジントルクカーブを作成します。エンジントルクカーブは、横軸がエンジンの回転数(単位は [rpm])、縦軸がエンジンのトルク(単位は [Nm])となります。
エンジンのトルクカーブはインターネットに出ているのでそれを参考に作成すれば良いです。
私は Performance Torqueというサイトの VEHICLE DATABASE にある、BMW M8 のエンジン特性を参考にして作りました。参考にするのは赤線のカーブになります。

それでは 図 4.15 を見ながら実際にトルクカーブを作っていきます。まずは Content Drawer上で
- 右クリックして Miscellaneous を選ぶ
- その中の Curve をクリック
- Pick Curve Class という画面が出てくるので、CurveFloat を選択
してファイルを作成します。ファイル名は、MyVehicle_TorqueCurve にしました。


次は作成した Curveファイル を開きます。カーブの通過点を追加するためには、右クリックして「Add Key」を選択します。
便利なカーブエディタの操作方法は Unreal Engine公式ページ に載っているので参考にすると便利です。

そうすると、三角形(△)の点が追加されます。これがカーブの通過点(制御点)になります。

トルクカーブは原点を通るので(エンジンの回転数がゼロの時は発生するトルクもゼロなので)、通過点をマウスでドラッグして移動させます。
点の動く方向は、グラフ編集画面上側にある Lock Axisボタン(上下矢印の)で制限できます。


同じ手順でカーブの通過点を追加していきます。カーブの通過点が追加できたら、自動補間ボタン(Cubic Auto Tangent)を押します。
補間ボタンを押すと 3次のスプライン補間が実行されます。

補間を押しただけだと少し変化が急な部分もあるので、通過点部分の曲線の接線を編集します。

少し通過点の数は少ないですが、これでトルクカーブが完成です!

4.6. 物理アセットの作成
Blenderで自作した車のモデルをインポートして、物理アセットを作成します。まずは、
- Content Drawer で
- Import をクリックし
- Blenderからエクスポートした3Dモデル(ここでは car.fbx)を選択して
- 「開く(O)」ボタン
を押します。

インポートの設定が表示されるので、
- Skeletal Mesh にチェックを入れる
- Import Content Type が Geomerty and Skinning Weights になっていることを確認
- Import をクリック
すれば、物理アセット(Physics Asset)がフォルダ内に生成します。

物理アセット以外にも Skeletal Mesh や Skeleton も生成されますが、まずは 物理アセット(Physics Asset)を開いてください。

開くと、自動的に作成された物理アセットを確認することができます。

Wheel とか Body のプリミティブ(画像中で半透明で表示されている物体の形状)が変なのでこれを直したい思います。
削除するには、画面左側のSkeleton Treeでスケルトンを全部選んで Deleteキー で消します。

ここからは、Wheel と Body に適切なプリミティブのボディ(←この説明横文字ばっかりですが)を割り当てます。
ボディは各部品のボーン(骨)に対して割り当てるので、Skeleton Tree でボーンが確認できるようにします。
Skeleton Tree 上で右クリックして「Show All Bones」とするとボーンが見れるようになります。

ボーンが表示されたら、
- Wheel 四輪のボーン(Wheel_FL, Wheel_FR, Wheel_RL, Wheel_RR)を選択
- 右下の設定の Primitive Type を 「Sphere」にして
- Create
を押します。これでタイヤに球状のボディが生成されます。

同様にして車のBodyもやっていきます。
- 車のBodyのボーン(Body)を選択
- 右下の設定の Primitive Type を 「Single Convex Hull」にして
- Create
を押します。これで車のBodyにも正しい形のボディ生成されます。


4.7. アニメーションブループリントの作成
車に動き(タイヤの上下動、ボディの揺れとか)を入れるために、アニメーションブループリントを作成します。Content Browser内で右クリックして、
- Animation の項目から
- Animation Brueprint を選択
します。

そうするとウィンドウが表示されるので、
- 作成したスケルトン(今回は car_Skeleton)を指定
- 検索窓で Vehicle と検索
- VehicleAnimationInstance を選ぶ
- Create を押す
という手順でアニメーションブループリントを作成します。ここでは名前を Myvehicle_AnimBlueprint としました。


作成したファイルを開くと、Output Pose というノードだけが置かれていると思います。このノードが最終的な姿勢の出力になるので、この前に色々なノードを追加していきます。

それではノードを追加していきます。まずはAnimGraph内の空いているところで右クリックして、
- 検索窓で Mesh Space と検索して
- Mesh Space Ref Pose
を選びます。

同じ手順で 「Wheel Controller for WheeledVehicle」 と 「Component to Local」のノードも追加します。


全部のノードが追加できたら、追加したノードを下の画像の順番(Mesh Space Ref Pose → Wheel Controller for WheeledVehicle → Component to Local → Output Pose)で並べてください。

ノードを並べたら、ノードとノードを人のアイコンの部分で繋ぎます。

全部のノードが接続出来たら、アニメーションブループリントの作成は完了になります。

4.8. ビークルブループリントの作成
車関係の設定はこれが最後になります。
4.4. ホイールブループリントの作成ではタイヤやサスペンションなど足回りの設定をしましたが、ここでは エンジンやトランスミッション など駆動系の設定をしていきます。
足回りの設定だけでなく今まで作成したもの(エンジントルクカーブ、アニメーションブループリントなど)をビークルブループリントに紐づけていって、最終的に動く車を作って行きます。
それではビークルブループリントを作成します。ビークルブループリントを作成するには Content Browser 内で右クリックして、Blueprint Class を選んで下さい。

そうすると親クラスの選択画面が出てくるので、
- ALL CLASSES で
- 「Wheeled」と検索して
- WheeledVehiclePawn を探して
- Select を選択
します。ファイル名は BP_MyVehicle とします。(名前は自由です)


ビークルブループリントにアニメーションブループリントとメッシュを紐づけます。作成したビークルブループリントを開いて、
- Anim Class を MyVehicle_AnimBlueprint_C に設定
- Skeltal Mesh Asset を car に設定
してください。

この設定ができたら、物理シミュレーションを有効にするために「Simulate Physics」にチェックを入れてください。

次に車の後方にカメラを追加します。カメラと車の距離を一定に保つように配置します。そのためにまずは、
- 画面左側の Components ウィンドウで Add を押して
- 検索窓で 「Spring」と検索
- Spring Arm をクリック
します。同じ手順で、カメラも追加してください。


カメラが追加できたら、車を操作した時に操作しやすいように位置を調整します。
移動のボタンと回転のボタンがあるので、上手く使いながらカメラ位置と角度をセッティングしてください(これで操作する時の視点が決まります)。

次に車輪の設定をしていきます。
ツリー上で Vehicle Movement Component をクリックした後、Wheel Setups の横にあるプラスボタンで 4つの配列要素を追加してください。
配列要素を追加できたら、Wheel Class と Bone Name を下の画像のように設定してください。

エンジンの設定をします。Mechanical Setup の Engine Setup を開きます。
ここで、Torque Curve の左にある三角形を開いて展開し、4.5. エンジントルクカーブの作成で作成したトルクカーブ(MyVehicle_TorqueCurve)を割り当てます。
Max Torque(最大トルク) や Max RPM(最大の回転数)は、参考にしたトルクカーブに合わせて設定して下さい。この他のエンジン設定はデフォルトのまま行きました。

デフ(Differential Gear)の設定をします。今回は後輪駆動を想定しているので、Differential Typeを「Rear Wheel Drive」に設定します。

トランスミッションの設定も行います。段数や変速のタイミングを色々変更できますが、今回はデフォルトのまま行きました。自分の好みに応じて変更すれば良いと思います。

ここで少し話が変わって、車を操作するためにキーボードやゲームパッドの入力設定をしていきたいと思います。
そのために、Edit タブから、Project Settings を開いて下さい。

Project Settings が開いたら Input の項目を探します。Input は Engine の項目の中にあります。

Inputの設定で、キーボードとゲームパッドの設定をしていきます。設定方法は、
- Axis Mappings の横にあるプラスボタンを押し
- 入力変数の名前を付けます(後のプログラムで使います)
- 変数名の左にある三角ボタンを押して展開して
- 割り当てるキーを選択(キーボードのマークを押してから任意のキーを押すか、プルダウンから選ぶか検索する)
- Scaleを設定
という流れになります。


1~4 の手順で他の入力設定も行います。入力設定ができると下の画像のようになります(今回使うのは赤枠で囲っているところだけです)。

次は、先ほど設定したキーボード入力で車を操作できるようにプログラムを作成します。
まずはビークルブループリント(ここでは BP_MyVehicle)を開いて、
- Componentsのツリーから Mesh (VehicleMesh) をクリックし
- Event Graph のタブを選択
してください。

そうすると、3つくらいノードが既に置かれていると思います。今回はこれらのノードを使わないので、
- マウスで範囲選択して
- 削除
します。

次は、キーボードやゲームパッド入力に応じて車が動くように設定していきます。
まずは、イベントグラフにツリーにある「Vehicle Movement Component」をイベントグラフにドラッグ&ドロップします。

Vehicle Movement Component が配置できたら、
- Vehicle Movement Component の右側にあるピンをマウスでドラッグして
- 適当なグラフエディタ上の場所で離します。離した直後に検索画面が出てくると思うので「Set Throttle」と検索し、
- Set Throttle Input を選びます。

続けて、
- Event Graph上で右クリックして「Throttle」と検索して
- Axis Events の「Throttle」をクリック
します。

これでスロットル入力に必要なノードは全て揃ったので、
- InputAxis イベントの「Axis Value」と Set Throttle Input の「Throttle」を接続
- InputAxis イベントの「Exec(白い右向き矢印みたいな)」と Set Throttle Input の「(白い右向き矢印みたいな)」を接続
します。

1~8の手順でステアリングとブレーキの入力も作成します。

ここまでできれば車を操作することはできるのですが、せっかくなのでハンドブレーキも追加します。
ハンドブレーキのプログラムは下の画像のようになります。ボタンが押されたときにハンドブレーキを有効にして、離すと無効にするというプログラムになります。

ブループリントが作成できたら、①コンパイルと②保存を行ってください。

アニメーションブループリントのコンパイルと保存をしていなかった場合は、同じように行います。

これでビークルブループリントの作成は完了です!
4.9. ゲームモードの作成
最後にゲームモードを作成していきます。今のままでは、デフォルトのかっちょいい車が走る状態になっています。
ゲームモードを作成するには、まずはContent Browser上で右クリックして「BlueprintClass」を選びます。

次に親クラスの選択画面が出てくるので、「Game ModeBase」を選びます。

ここでは、「MyVehicle_GameMode」という名前でファイルを作成します。

次に、作成したゲームモードを開いて
- Default Pawn Class を「BP_MyVehicle」(4.9. ビークルブループリントの作成で作った)にして
- コンパイル
- 保存
をします。

ゲームモードが設定出来たら、ワールド設定を開きます。ワールド設定を開くには、
- Window をクリックして
- World Settings を選択
します。

最後にゲームモードの上書きを行います。ゲームモードの上書きを行うには、
- GameMode Override をクリックして(デフォルトはAdvVehicleGameMode)
- 自分で作成したゲームモード(ここでは「MyVehicle_GameMode」)に
変更します。

これで全ての設定が完了しました。実際に動かしてみましょう!
5. 動かしてみる
画面上にある再生ボタンを押すか、「Alt + P」プレイできます。車の操作をはじめるには、画面を一度クリックする必要があります。
自分で作った車をサーキットで走らせることができます。これは楽しい!!

6. まとめ
車の3Dモデルの作成から1本の記事に書いたので長い記事になってしまいました…
車の自作3Dモデルを運転して走らせたいときに、少しでも参考になれば嬉しいです!
7. 参考文献
- UNREAL ENGINE(Epic Games)「How to Set up Vehicles」、(https://dev.epicgames.com/documentation/en-us/unreal-engine/how-to-set-up-vehicles-in-unreal-engine)
- YouTube(@Math B)「01 - Rig and export vehicles from Blender to the UE5. (UE5 Vehicle Tutorial)」、(https://youtu.be/CXm8Ruu9saA?si=2JnJTWx-YTTxP1D5)
- YouTube(@Math B)「02 - Make your imported vehicle drivable! (UE5 Vehicle Tutorial)」、(https://youtu.be/VC_9hRRTWdM?si=Hh5fBAwFluGSE84I)
- パソコン工房 NEXMAG「Blenderインストール方法と基本的なオブジェクトの作り方」、(https://www.pc-koubou.jp/magazine/68319?srsltid=AfmBOoop6ZpQF8_u6_WhaIgGhg0NL8DInaD7bhfUBDLzChj8U1g2taf6)
- 岡田和也「猫でも分かるUnreal Engineの学び方 - 超初心者向け編 - 2023 v1.0」、(https://www.docswell.com/s/EpicGamesJapan/KW1WNR-HowToLearnUE5_2023)
- ゲームメーカーズ「UE5版 ゲームづくりを始めよう!」、(https://gamemakers.jp/howto/)
- Performance Torque「VEHICLE DATABASE」、(https://www.p-torque.co.uk/vehicle-database/)